ピアノ経験者ほどハマる落とし穴|カノン進行とアルペジオの真実

ポップスを弾くなら知っておきたい「カノン進行」

ポップスを弾く時に、ぜひ覚えておきたいコード進行の一つが「カノン進行」です。
このブログでも何度も解説してきましたが、今回は動画解説とともに、さまざまな視点から徹底的に分析してみました。

取り上げたのは、山下達郎さんの不朽の名曲『クリスマス・イブ』。
もう1月も半ばを過ぎましたが、多くの楽曲で使われる進行です。
ぜひこの曲を通して、カノン進行を自分のものにしていきましょう。

1. 「カノン進行」には2つのメロディラインがある

「カノン進行」と聞くと、多くの方が
1-5-6-3-4-1-4-5
という数字の並び、つまり原曲であるパッヘルベルのカノンで聴こえてくるベースラインを思い浮かべるのではないでしょうか。

しかし、カノン進行で流れているメロディラインは、それだけではありません。

ピアノでコード進行を弾いてみると気づくのですが、
トップノート(一番高い音)が
ド・シ・ラ・ソ・ファ・ミ…
と、滑らかに順次下降していきます。

カノン進行(key-C)の両手楽譜

このベースラインとトップノートの下降ライン、
2つのメロディラインが美しく絡み合っていること。
これこそが、カノン進行の本当の正体です。

そしてポップスでは、このトップノートの下降ラインをベースに使っている曲が非常に多くあります。
『クリスマス・イブ』もその一つです。

進行自体はカノン進行そのものではありませんが、
ベースの動きは、カノン進行のトップノートのラインを踏襲しています。

コード進行を耳コピしたい方にとって、
この2つのラインを知っているかどうかは、非常に大きな差になります。

2. 名曲『クリスマス・イブ』に学ぶ、あえての「ルール違反」

実際に『クリスマス・イブ』を分析してみましょう。

この曲では、ベースが
ド・シ・ラ・ソ…
と下降していく、カノン進行に似た動きをしています。

ただし、一箇所、決定的に違う部分があります。

上がカノン進行、下が「クリスマス・イブ」の進行です。

本来のカノン進行では、4つ目のコードは Em(Ⅲm) です。
ところが『クリスマス・イブ』では、ここが G(Ⅴ) に置き換えられています。

その結果、コード進行は
G → F(Ⅴ → Ⅳ)
という動きになります。

実はこの進行、クラシック理論では「禁則」とされる、いわばルール違反なのです。

でも、ポップスではよく出てきます。
ブルース進行では、まさにここが決め手になりますし、
ロックンロールも同様ですね。

クラシックの禁則をあえて破るところが、ロックなのかもしれません。

ポップスの世界では、理論的な正しさよりもサウンドの説得力が重視されます。
音楽のルールは絶対ではなく、ジャンルや表現によって価値が変わる。
『クリスマス・イブ』は、それをとても分かりやすく示してくれる一例です。

……ちなみに、クラシックにも「例外」はたくさんあります(笑)

3. 経験者ほど陥りがちな、アルペジオの「意外な落とし穴」

ピアノ経験者の方は、アルペジオ(分散和音)といえば
「ド・ソ・ミ・ソ」「ド・ミ・ソ・ド」
といった形に、3度の音を入れるのが当たり前になっているかもしれません。

アルベルティバスなど、クラシックではおなじみですね。

ただし、即興的に伴奏を作る場合、最初に覚えるべき基本形は
「ルート・5度・ルート」
(Cコードなら「ド・ソ・ド」)という、3度を含まない形です。

なぜ、クラシックで慣れ親しんだ3度の音を、安易に使うべきではないのでしょうか。

それは――
「クラシックでド・ソ・ミ・ソが成立するのは、大作曲家が音の積み方を徹底的に考えているから」です。

ベートーヴェンやモーツァルトの美しいアルペジオは、
メロディとの関係性を熟考し、3度の音をどこに置くのが最も効果的かを計算し尽くした結果です。

即興演奏で、その判断を瞬時に行うのは簡単ではありません。
だからこそ、まずはルートと5度をしっかり弾くことが、サウンドを濁らせないための大切なセオリーになります。

その上で、次のステップとして、
右手で押さえている和音の中から一音を足してみてください。

それだけで、響きはぐっと豊かになります。
簡単なのに美しいアルペジオになることを、きっと実感できるはずです。

4. コードを本当に理解したければ「楽譜を見るな」

最後は、特にピアノ経験が長い方に向けた、学習法についてのアドバイスです。

カノン進行のような定番進行を練習する際、
「楽譜を見て弾く」習慣から、意識的に離れること。
これが、本当の意味でコード進行を理解するための第一歩です。

楽譜を見れば、音は簡単に弾けます。
「なるほど、こんな感じか」で終わってしまうでしょう。

しかしそれでは、
キーが変わった時や、少しアレンジを加えたい時に応用が効きません。

本質的な理解のためには、
楽譜ではなく、コードネームを見て弾く練習が不可欠です。

さらに重要なのは、
「今はハ長調の1度を弾いている」「次は5度だ」
というように、キーの中での度数(ディグリー)を常に意識すること。

コードネームだけを見るのでは、まだ片手落ちです。
必ず、度数とセットで考えましょう。

そして最終的には、
コード進行をコードネームすら見ずに弾ける状態を目指すのがおすすめです。

もちろん、ピアノを始めたばかりの方にとって、楽譜は形を覚えるための大切なガイドになります。
大切なのは、音符を読む段階から卒業し、
和音の機能や構造を理解する段階へ進むこと。

この練習を続けることで、
コード進行が身体に染み込み、
耳コピの精度やアレンジの引き出しが確実に増えていきます。

ここまで読んで、

  • カノン進行は知っていたけど、曲を聴いてカノン進行かどうかがわからない
  • 楽譜を見ずにコードで弾けるようになりたいけど、どこから練習すればいいか迷っている
  • 理論を勉強してるけど、どう演奏に繋げるのかわからない

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