コードは弾けるのにポップスっぽくならない?back number「わたがし」で学ぶカッコいい弾き方

「コードは弾けるようになったけれど、なんとなく響きがポップスっぽくならない」
「楽譜通り両手で弾いているんだけど、何かが違う……」
そんな経験はありませんか?
実は、単なる「コード伴奏」をポップスらしい演奏にしていくには、指をどう動かすかだけではなく、音楽をどう捉えるかがとても大切です。
メロディーだけを追うのではなく、
「コードはどこへ進もうとしているのか?」
「音楽のエネルギーはどこへ向かっているのか?」
「それぞれの音には、どんな役割があるのか?」
そんなことが見えてくると、同じ音を弾いていても演奏が変わってきます。
今回はback numberの『わたがし』を例に、ポップスっぽく、カッコよく弾くためのポイントを動画付きで解説します。
メロディー、ベースの次に「第3のライン」を意識する
ピアノを弾くとき、ハーモニーを意識していますか?
曲を聴くときには、まずメロディーに意識が向くという方が多いと思います。
でも、ハーモニーを捉えられるようになると、音楽がどこへ向かって流れているのかが見えやすくなります。
そのために聴いてほしいのが、
- メロディー
- ベース
- その間にある、もう一つの音のライン
です。
この「第3のライン」はメロディーとベースの間に隠れているため、最初は少し聴き取りにくいかもしれません。
でも、この音の動きがハーモニーの変化を作り、音楽の景色を変えていきます。
今回取り上げた『わたがし』にも使われている「カノン進行」では、このラインが順番に動いていくので、とてもわかりやすいです。
カノン進行はメジャーキーで登場することが多いのですが、『わたがし』ではマイナーキーのカノン進行が使われています。
こうした「コードの中で動いている音」に耳を向けると、コードネームを追うだけでは見えなかった音楽の流れが見えてきます。
音楽の行きたい方向を示す「ドミナント・モーション」
曲を弾くとき、
「次のコードはこれ」
「次のメロディーはこの音」
と追いかけるだけになっていませんか?
もう一つ考えてみてほしいのが、
「音楽のエネルギーは、どこへ向かっているのか?」
ということです。
その大きな目印になるのが「ドミナント・モーション」です。
これをイメージするなら、学校の朝礼などでおなじみの
「気をつけ → 礼 → 気をつけ」

を思い浮かべてみてください。
「礼」で身体が傾き、そこから「気をつけ」に戻る。
音楽でも同じように、ドミナントで生まれた緊張感が、トニックへ進むことで解決します。
この「行きたい → 着いた」という動きが、音楽を前へ進めるエネルギーになります。
新しい曲に挑戦するときは、楽譜の中にあるドミナント・モーションを探して、「ここへ向かっている」という矢印を書き込んでみるのもおすすめです。
行き先がわかると、一音一音をただ並べるのではなく、フレーズ全体を歌いやすくなります。
「sus4」は音を吊り上げるサスペンダー
コードネームでよく見かける「sus4(サスフォー)」。
susは「suspend=吊り上げる」という意味です。
ズボンを吊り上げる「サスペンダー」と同じですね。
sus4では、本来コードの中にある3度の音を4度の音に置き換えることで、まだ落ち着かない状態を作ります。
「sus4」という記号だけで覚えるのではなく、
音が吊り上げられていて、元の場所へ戻りたがっている
と捉えてみてください。
『わたがし』の中にも、このsus4が何度か登場します。
「この音はここへ戻りたいんだ」と意味がわかると、ただコードを押さえるよりも、ずっと音楽の流れを感じながら弾きやすくなります。
両手で弾くコツは、左手を「自動化」すること
「左手につられて右手が弾けない」
「右手につられて左手が止まってしまう」
これは、とてもよく聞くお悩みです。
右手がメロディー、左手が伴奏の場合、目指したいのは、
左手を、まるで別の人が弾いているかのように動かせること。
「右手がこの音のとき、左手はこの音」と、左右を縦に合わせながら弾こうとすると、音楽の流れが止まりやすくなります。
そうではなく、まず左手の伴奏だけで音楽が流れ続けるようにして、その上に右手のメロディーをのせていきます。
間違ってもいいのはメロディー。左手は止めない
練習するときは、右手が間違っても、左手は止めない。
左手は「独立した伴奏者」として動き続けます。
この感覚が身についてくると、左右を一つずつ合わせるのではなく、二つの音楽を同時に流すことができるようになってきます。
ただし、これは「右手=メロディー、左手=伴奏」の場合です。
両手でメロディーを弾く場合や、弾き語りのピアノでは考え方が変わりますので、そこは注意してください。
ピアノが美しく響く「ボイシング」
和音を弾くとき、
「どの転回形を使えばいいんだろう?」
と迷うことはありませんか?
どの音をどこに配置するかを考えることを「ボイシング(配音)」といいます。
これは単なるセンスの問題ではありません。
まず意識してほしいのは、次の2つです。
- 低音域の濁りを避ける
- 共通音はできるだけ保留する
まずはこの2つ。
これだけでも、コードの響きやコード同士のつながりはずいぶん変わります。
さらに慣れてきたら、「押さえやすい形だから」という理由だけで転回形を選ぶのではなく、一番上の音(トップノート)をどう動かしたいかから逆算してボイシングを考えてみましょう。
すると、コードが単なる「伴奏」ではなく、ひとつの流れとして聞こえてくるようになります。
ポップスっぽく、カッコよくするには?
ここまでいろいろなポイントをお話ししてきましたが、いちばん大切なのは、
音楽がどこへ向かっているのかを感じること。
これはクラシックでもポップスでも同じです。
「音楽のエネルギー」
「音の行きたい方向」
まずは、ここが土台です。
その上に、ポップスらしいボイシングやリズム、ノリを重ねていきます。
クラシック曲なら弾ける。
楽譜通りなら弾ける。
でも、ポップスを弾くと「なんか違う……」。
そんなときは、
「コード進行の流れを感じている?」
「音楽のエネルギーが向かう先を意識している?」
と、自分の演奏に問いかけてみてください。
今まで「音符」として見ていたものが、少しずつ「音楽の流れ」として見えてくるかもしれません。
それでも、
「やっぱり、なんか違う」
「自分の場合は、どこを変えればいいんだろう?」
と思ったら、一度こちらを読んでみてください。


