楽譜がなくても弾けるようになる、音楽理論という「地図」の使い方

楽譜がなくても弾けるようになる、音楽理論という「地図」の使い方

「楽譜があれば弾けるけれど、それがないと弾けない…」 「もっと自由にアレンジしてみたいのに、どうやればいいかわからない」

そんなお悩みはありませんか?

クラシック曲を弾くというのは、楽譜に書かれていることを深く読み取って、作曲家の表現したいことを再現することです。 それに対してポップスは、もともとピアノ曲ではないので、リードシート(コード付きメロディー譜)を設計図として、自分で表現していくことになります。

今回は、「理論を学ぶことが、自由に弾けるようになるための近道である」という話を、『ミッキーマウス・マーチ』『少年時代』を例に解説します。

自由に弾くための理論

ピアノの上手い人の中には、理論はわからないけれど「感覚的に弾いている!」という方も多くいますが、これはなかなか難しいことです。 でも、理論を知れば、誰でも自由にアレンジや即興が可能になります。

「感じたままを弾く」ことができなくても、論理的な裏付けを持って「わかって弾く」ことができるのです。

理論を学ぶことは、地図を手に入れるようなものです。 スケール(音階)やコードの仕組みを理解することで、音楽が進んでいく方向を知ることができます。

理論を学ぶというと、自由とはかけ離れているように感じるかもしれません。 でも、理論がわかれば、「次にどの音を選ぶべきか」を自分で決めることができます。 この「自分で決める」感覚こそが、演奏における本当の自由なのです。

調号(シャープ・フラット)から「キー」を見抜く方法

新しい曲に出会ったとき、まず確認するのが調号(♯や♭)です。 音楽をやる上で、キーはとても重要です。キーがわかれば、メインに登場する音がわかるからです。

「キー(調)」を見抜く法則は、次のとおりです。

シャープ(♯)系

最後に付いている♯の音が、そのスケールの第7音(導音)になります。

例えば♯が1つの場合、ファ♯の半音上の音である「ソ(G)」が主音となり、ト長調(Gメジャー)だとわかります。

 

フラット(♭)系

最後に付いている♭の音が、スケールの第4音になります。

「後ろから2番目の♭が主音」という覚え方をしている方も多いかと思いますが、私は「4-3-2-1と数え下りて主音を見つける」方法をお勧めしています。 この方法だと、♭が1つしかないときも迷いません。

例えば♭が1つの場合、シ♭から「シ(4)・ラ(3)・ソ(2)・ファ(1)」と数え、ヘ長調(Fメジャー)を導き出します。

この「第4音」として捉える感覚を身につけると、コード進行の理解が格段にスムーズになります。

ドミナント(支配者)は「5度」:耳でキーを感じるための「ドミナント・モーション」

「ドミナント(支配)」の言葉通り、音楽において、そのキーを実質的に支配しているのは、実は第1音(主音)ではなく「第5音」です。

ドミナント・モーションとは、5度のコードから1度のコードへ解決しようとする、強い引力のことです。 例えばFメジャーの曲なら、C7(5度)からF(1度)へ向かう動きを聞いた瞬間、私たちの耳は「この曲はFが中心なんだ」と確信します。

理論を頭で覚えるだけでなく、ぜひ「音(響き)」として感じてください。 新しい曲を弾く前に、そのキーの5度と1度(ハ長調なら「ソ〜ド〜」のように)を声に出して歌ってみるのも良いです。 身体にドミナントからの解決感を記憶させることで、曲の構造が理解できるようになるでしょう。

ミッキーマウスに隠された「泣きべそ」のコード進行

誰もが知る『ミッキーマウス・マーチ』には、コードの「キャラクター」を学ぶ最高の教材が隠されています。それが、4度マイナー(IVm)による感情の演出です。

本来、明るいメジャーキーの曲では、4度のコードもメジャー(ト長調ならC)になります。 しかし、この曲にはG(1度)→C(4度)→Cm(4度マイナー)という流れが登場します。誰が言ったのかはわからないのですが、これを「泣きべそ進行」と言います。

明るく元気な進行の中に、一瞬だけマイナー(短調)の影が差す。 この「キュン」とするような切ない響きこそが、曲に奥行きと彩りを与えているのです。 有名な曲の中にこうした「キャラクター」を見つけると、理論は一気に身近なものになります。

「2-5-1(ツー・ファイブ・ワン)」は、次の音へ跳ぶための踏み台

ジャズやポップスで覚えておきたい進行に、2-5-1(ツー・ファイブ・ワン)があります。 「5-1」の前に置かれた2(Ⅱm)が、目的地(1度)へ向かうための「踏み台」のような役割を果たします。

いきなり5度から1度へ行くよりも、その前に2度(サブドミナント)を挟むことで、音楽に「物語」や「ドラマ」が生まれます。

『少年時代』には、この「2-5-1」が至る所に登場します。

特にm7b5(マイナーセブン・フラットファイブ)を使った2-5-1は、私のお気に入りのポイントです。

「マイナーキーに行くのかな?」と思わせておいて、メジャーキーにいく。
この「裏切り」と「驚き」が心を揺さぶるんですよね。

「ああ、だから私はここを素敵だと感じるんだ」

理論がわかると、そんなふうに自分が音楽に心を動かされる理由まで見えてくることがあります。

『少年時代』が長く愛されている理由も、少しわかるような気がします。

理論を知ることは、自由を失うことではない

音楽理論を学ぶことは、音楽を「決まり」の中に押し込めることではありません。

何の手がかりもなく、

「何をやってもいいよ!」

と言われるより、

「まずは、この中から自由に選んでいいよ」

と言われた方が、かえって自由に動けることがあります。

そして、慣れてきたら、そこからちょっとはみ出してみる。

なんだかワクワクしませんか?

完璧な楽譜を探し回るのではなく、

「ここはどんなコードにしよう?」
「この伴奏、もう少し変えてみようかな?」
「私はこの響きが好き!」

そんなふうに、自分だけの響きを探すことに時間を使う。

理論は、そのための地図になります。

きっと今よりもっと自由に、自分らしく音楽を表現できるようになるはずです。

でも、

「そう言われても、理論って何から勉強すればいいの?」

「コードは勉強したけれど、実際の曲とどう結びつければいいの?」

そんな方もいらっしゃると思います。

そんなときは、無料相談「コードでピアノ!作戦会議」をご利用ください。

今の演奏や、これまでやってきたこと、これから弾いてみたい曲などを伺いながら、

「これから、何をどんな順番で練習していけばいいのか?」

を一緒に考える時間です。

「理論って、こんなに楽しいんですね!」

「この曲のサビを素敵だと感じる理由がわかりました!」

そんな感想をいただくこともあります。

理論を「覚えるもの」から、「音楽を楽しむために使えるもの」へ。

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