コードを覚えたのに弾けない理由|鍵は「手続き記憶」にあった
コードを覚えるのと、コードで弾けるのは違う
前回の記事では、
「コードは覚えたのに弾けない理由は、コードチェンジが身についていないから」というお話をしました。
▶️前回記事(コードを覚えても弾けない理由ー雪の華で解決します)
その後、
「コードはきちんと“手の形”で覚えているのに、なぜ弾けないのでしょうか?」
というご意見をいただきました。
そこで今回は、YouTube「JUNのコードでピアノトーク」でお話しした内容をもとに、
“記憶”という観点から、なぜそうなるのかを詳しくお伝えします。
練習不足ではなく「記憶の種類」の問題
「こんなに練習しているのに、なぜできないの?」
「やっぱり才能がないのかな?」
そうやって自分を責めてしまう方もいらっしゃいます。
でも、原因は練習不足ではありません。
鍵になるのは、**“記憶の種類”**です。
私たちの脳には、
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理論や知識を覚える「宣言的記憶」
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身体の動きを覚える「手続き記憶」
という別のシステムがあります。
コードの名前や構成音を理解するのは「宣言的記憶」。
でも、実際にスムーズに弾くために必要なのは「手続き記憶」なのです。
理論がわかっていても、
身体に動きが書き込まれていなければ、指は迷います。
トイレの座り方も“記憶”だった
私がこのことを強く実感したのは、
前頭側頭型認知症を患った父の姿からでした。
父は、洋式トイレに座れなくなりました。
筋力が落ちたわけではありません。
「座る」という動作のプログラムが、脳から消えてしまったのです。
私たちが当たり前にできている動作は、
すべて“身体に刻まれた記憶”によって支えられています。
ピアノも同じです。
コードを弾くという行為は、
単なる指の力の問題ではありません。
動きのプログラムが身体にあるかどうか。
ここが分かれ道になります。
階段の上り下りとコードチェンジは同じ
自宅の階段なら、暗闇でも上り下りできますよね。
それは身体が、
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段差の高さ
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足を上げる幅
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重心の移動
を完全に記憶しているからです。
コードチェンジも同じです。
必要なのは、
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鍵盤上での「距離感」
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腕の移動幅
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手の形のセット感覚
視覚に頼るだけでなく、
腕と身体全体で距離を覚えること。
それができて初めて、
迷いのない演奏になります。
無意識をつくるための「意識的練習」
「無意識に弾けるようになりたい」
そのために必要なのは、
最初はむしろ“徹底的に意識すること”です。
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どの指から動くのか?
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手首はどう回転しているのか?
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次のコードまでの距離はどれくらいか?
動きを分解し、意識的に繰り返す。
すると、ある日突然、
「最近、なんだか自然に弾ける」
という瞬間が訪れます。
それが、手続き記憶に書き込まれたサインです。
自分の指に“一生ものの記憶”を
ピアノがうまく弾けないとき、
それは才能の問題ではありません。
まだ、身体への“書き込み”が終わっていないだけかもしれません。
今日からの練習は、
単に音を出す作業ではなく、
自分の指に一生ものの記憶をプレゼントする時間
にしてみてください。
階段を上るのと同じくらい自然に、
椅子に座るのと同じくらい当たり前に、
コードチェンジを身体の一部にしていきましょう。
「練習しているのに、なぜか弾けない」
そんなモヤモヤがある方は、
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今どこでつまずいているのか、一緒に整理するだけでも、
練習の方向がぐっと変わります。
お気軽にどうぞ。



